はれ後あめ

十夜ヶ橋 (テント)

高森城跡

ヘンロ小屋16宇和

行き悩む浮世の人を
渡さずば
一夜も十夜の
橋とおもほゆ

すなおでない自分をみた、

乞食根性をしる。

真夏の日差しが、ジリジリと肉体を焼く。

どんなに暑くても苦しくても

冬よりは夏を選ぶ

肉体が寒さよりも暑さに対して抵抗強いから

シャツ一枚で何のこだわりもない生活が好ましいから

さすがにこの暑さでは

ろくに眠れないひがつづく

寝不足であるく道は

不意に意識がぐらんと傾く

よろよろとへんろ道を外れ

ぼくのルーツと思われる城跡にきた

曽祖父母とも養子なので

血のつながりはないけれど

ここに訪れてみたかった

山頂から望む景色は

どこか僕の故郷に似ている

雨がぽつぽつと降り出し

やがてざーざー雨に変わる

雨水が山の頂から流れてくる

その道をばしゃばしゃと登っていく

約一カ月ぶりの雨を

身体全体に満たすように坂を登る

頂から少し下ったところ

パーキングスペース内で

白い軽自動車のおばちゃんと出会う

次のお寺の近くまで乗せてくれるということなので

その言葉に甘えた

車窓からみえる山間の霧

 

ゆっくりと空の青に解けてゆく

おばちゃんは信仰宗教の信者だった

車内での勧誘は降り口までつづいた

何冊かの冊子とお菓子とジュースを受取り

お礼を伝えおばちゃんと別れた

信じるものが皆無に等しいぼくは

こころでありがとうと言えたかどうか

すなおでない自分をみた。