はれ

道の駅 すくも サニーサイドパーク(テント)

沖の島

白岩岬公園

あれやこれやと

どうでもよいことを思案しているうちに

陽が傾き

時刻は昼になっていた

太陽にぐいぐい押され

暑い日差しに耐えられず

影の伸びる方向へと歩き出す

湿った煙草を乾かし

一本喫んで

遍路から逸れ

港行きのバス停へと向かう

いつもバスをまつあいだ

ほんとうに来るかどうか心配になる

いくら待っても

バスは来なくて

結局は歩くことになった

港までの道のり

風は記憶をけしかけ

時を乗り継ぎ

さまざまな仕草をぼくにみせたが

ただ言い尽くされた言葉を

拾い集め

形にするたび

その気色はどんどん薄まってゆく

そんな歯がゆさばかりを残しながら

港につき

島行きのチケットをかった

船にのり離岸していくにつれ

岸の記憶は霞むように薄れる

船体は脈打ち轟々とうねりをあげ

進みはじめた

見慣れぬ海は

光に磨きたてられたみたいに

ひかり輝いて

ぼくの背後に揺れていたものは

影となり

視界に入ることも徐々になくなっていく

海は深く

夢を孕み

果てしなく蒼い

その前方に広がる無限はひとを誘う

島につき

島民たちは誰かを出迎え

そして誰かを見送り

船は帰っていった

その間を身を屈めて通り抜け

寂しさを振り払うように

岬を目指し登り坂を歩いた

一歩二歩と空は近づき

岩壁と隣接した道からみる海面は

はるか下降に広がっていく

それは

小さな銀箔を散りばめたように

ちかちか揺れながら光って

そこから真っ直ぐにそりたつ岩場の

その美しさに見惚れるも

どこかで

差し違えそうな

そんな気持ちを抱かせる

今朝の思いつきで

この場所へと訪れたように

不意に意識が地上から引き剥がされ

空中にふわっと浮き上がり

飛んでいってしまいそうな

そんな気分だった

岬につきテントを張る

港で買った鯖をぶつ切りにして

鍋に放り込み

味噌をとかす

西の空が赤らみ夜が来る

テント内を吹き抜けていく風

月夕の夜、皓々と照らす月