晴れ/29km
小松大谷池農村公園
↓9km
60番 横峰寺
↓20km
三芳公園

下草をばさばさ薙ぎはらい
ひたすら山の峰をあるく
両脇から
ぶわっと吹き上がる風が心地よく
下界にいるときより
聴覚は研ぎ澄まされている

どんな風のそよぎも小枝の折れる音も
聞こえるようで
木の葉がかさかさと擦れあう音も
とんびのぴーひょろも
うぐいすのほーほけきょも
森は色んなことを知っているんだとおもう

町に戻ると
夢から覚める
灯る街灯と家家のあいだを
ぞろりぞろりと偏倚な姿勢で
徘徊しているぼく
整備された路を歩くたび
ちくちくと刺さり
こすれるのは
世間に怯える弱々しいじぶん
うすらぼやけた善悪の垣根を跨ぎ
夜の公園にテントをはっては
寝支度を整え
公衆便所や水飲水栓で身体を洗い
汚れた衣服を洗濯し
鉄棒にひっかける

猫や鴉や
どうぶつのように
動物のように
動くものの哀れ
見窄らしくうごめく
自分自身にも少し愛着が湧く
浅い眠り
人が動き出す日の出前に公園を去る
峰から峰
尾根から尾根
街から町
海から海
野犬のごとく
北へ南へ東へ西へと這いずりあるき
野生のカラダに触れ
ちいさな生き物だとしる
いまのぼくに
必要な標識はそれほど多くはない
