晴れ/13.8km
お遍路さん休憩小屋 第41号(寝袋)
↓1km
56番泰山寺
↓3.1km
55番南光寺
↓3.7km
54番延命寺
↓6km
星の浦海浜公園(テント)

昼に立ち寄った海辺の公園
少し休むつもりが
つい寝てしまう
そのまま野宿しようという気持ちになって
本を読んで居眠って
また本を読んで居眠ってを
繰り返して
腹が空いたのに気づいた
四国へきてはじめての外食

公園近くのお店”まがったとこ”へと。
しゃがれ声の小柄なおばちゃんが言う。
「きょうでお店を畳むんよ」と。
「だから、お接待させてね!」って
カレーとアイスコーヒーをご馳走になった。

店内からは
フランキー・ヴァリの
can’t take my eyes off you

食事を終えて野宿先の海浜公園へと戻る
夕暮れの海に飛び込む
汗疹と恥ずかしいほど部分焼けした
身体を海水に沈め
こんな浅瀬でも溺れそうになりながら
揺れ伸び伝わる茜色の綱をつかみ
冷たい水面に言葉を浮かべては
さよならを告げる

対岸の島々がとおくに淡く霞み
太陽はゆっくりと力を抜くように沈む
風も空も山もそれぞれに合わさり
温度を下げ空気を変える
散歩する人面犬等の巡回警備
ヤンキーたちのぶんぶん
なみのごうごうざぱんと
星空
点滅するコンビナート

どれもが
一瞬だと告げている
騒がしさと静けさが入り混じり
正気の在りどころさえも分からなくさせる
太陽にやかれ
熱をもった肌を
冷感シートで拭きとるみたいに
いくつもの麻酔で
こころを殴り倒して
なにかを願うことで
忘れることで
逃すことで
重ねることで
いつも殺したりするのか

“くもりなき鏡の縁とながむれば”
“残さず影をうつすものかな”