つちのなか

春の暖かさ

芽吹く種

華やいだ

花の声を運び

半分開いて

咲かないことを選び去る

感情などなく

もぐるつちのなか

長い間

置き去りにした季節に

私はもう一枚、

膜を編み

そしてもう一度眠りにつく

この静かな秩序へと

夢に溶け

目覚めるたび

少しずつすり減らす

夜明けとともに

光も影も消えて、

ただ手のひらにのるほどの

静けさだけこの上に

そう

これが自由。

そしてそれがもたらした絶望